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久野 愛子(国大32)

シンガポールでの学校交流


2012年から4年間、私はシンガポール日本人学校小学部クレメンティ校の教員として、当地で日本人学校に通う子どもたちの担任をする機会に恵まれた。

一年の始めと終わりとでは、30人クラスの4分の1、多い時には3分の1もの子どもたちが入れ替わる、たいへん転出入の多い学校だ。さらに毎年、子どもたちの数は増えていっているのだから驚きだ。私が担当した学年も4ないし5クラスで、ひと学年に150人もの子どもたちがいる。全校生徒が800人を超え大規模校と言えるだろう。

このシンガポール日本人学校において、毎年どの学年も行っているのが、シンガポールの現地校との「学校交流」だ。日本人学校に現地校の生徒を招いて日本の文化を紹介する「招待」と、シンガポールの現地校を訪れる「訪問」の二つのプログラムがある。

「招待」では、日本の昔遊びを紹介して、こまや竹馬、あやとりやすごろくをして現地校の子どもたちと一緒に遊んだり、折り紙を教えたりする。「子どもの日」や「七夕」をテーマにして、一緒に鯉のぼりづくりをしたり、願いごとを書いて笹に吊るしたり七夕飾りを作ったりすることもある。日本でいう「運動会」のような、スポーツを通しての交流もある。紅白玉入れやリレー、綱引きなど、シンガポールの子どもたちにとってはたいへん興味深いようだ。

「訪問」ではシンガポールの遊びを教えてもらう。シンガポールの人が子どもの時に遊んだ昔ながら遊び、例えばお手玉のようなもの、棒とり、羽蹴り、サガの実のおはじきなどだ。子どもたちによるインド系やマレー系の伝統舞踊の発表を見たり、中国楽器の演奏を聴いたりすることもある。一緒に英語やマレー語の歌を歌うこともある。

これらの交流を通して、子どもたちは自然と仲良くなるのだから素晴らしい。日本人学校の子どもたちは自分の知っている英語やジェスチャーを駆使して、どうにか相手とコミュニケーションを取ろうと努力する。そんな姿から、私たち大人が学ぶべきものはたくさんあると思う。

子どもたちが、自分とは違うことやものに自ら「気づく」というのもいい。現地校の学校自体や生徒を見るだけでも、日本人学校の子どもたちはたくさんの「気づき」をしている。例えば現地校の子どもたちが、体育座りではなくあぐらをかいていることに、子どもたちは驚いていた。日本で言うところの「正しい姿勢」が、シンガポールの学校では、あぐらをかいて背筋を伸ばすことなのだ。このような、子どもたち目線での「気づき」が面白い。

色々な人種、宗教や文化の違う人たちがお互いを認め、尊重し合いながら共に暮らすシンガポール。学校はまさにシンガポール社会の縮図である。日本人学校の子どもたちも、現地校の生徒たちとの交流からたくさんの「気づき」を得る。彼らはいずれ日本に帰る、もしくは他の国へ移動する子どもたちだ。ここシンガポールで、現地の子どもたちとコミュニケーションをとろうと頑張ったこと、習った英語が通じたこと、身振り手ぶりしながら通じ合うものがあったことは、子どもたちの心に残るだろう。そんないい印象をもって、これからもグローバルに世界の仲間と共に活躍していってほしい。

これからも当地で、シンガポール日本人学校と現地校との交流が末永く続くことを願っている。

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