時空をこえて ~カイロだよりVol.2~
2018年元旦。
初日の出を、ピラミッドとナイル川越しに自宅から眺めて、なんとも言えない幸福感に包まれました。今から4500年ほど前に造られたギザのピラミッド。なんというスケールの大きさでしょう。
一年前、2017年の年末年始はナイル川クルーズで旅し、エジプト最南端、スーダンとの国境まであとわずかのアスワンとルクソールを訪れました。そこは『王家の紋章』の世界が広がっていて、エジプトに来た時からいつか訪れたかった場所でした。
まずはアブ・シンベル神殿へ。
この神殿は、アスワンハイダム建設時に神殿が水没の危機にさらされ、ユネスコの国際キャンペーンで救出された歴史があります。アブ・シンベル宮殿の姿は1エジプトポンド紙幣に使われており、よく目にしていたので不思議な親近感がありました。ナイルを遡った果ての地に、これほど巨大な建造物を造らせたラムセス2世の強大な権力に言葉もありません。
年に2回ほど、2月20日と10月20日前後に、日の出が至聖所の右端1体以外の3体の神像を照らす様は、まさに神々しいものです。
いくつもの神殿を訪れたのち、ハトシェプスト女王葬祭殿へ。
ハトシェプスト女王はエジプト初の女王です。今でも綺麗に残っている壁画からも、外国との通商をした女王の強大な力を想像できました。
日が暮れてから開催される音と光のショーはいくつかの神殿でおこなわれています。ショーはまるで偉大な先人たちの歴史絵巻を見ているかのようでした。
そして、テレビ番組でもよく取り上げられる王家の谷に辿りつきました。ツタンカーメンの墓や列柱のレリーフを見ては、遠き日に想いを馳せます。
カイロにあるエジプト考古学博物館には、ツタンカーメンの黄金のマスクや装飾品が常設展示されています。何千年も前の物とは思えない古びないデザインで、美しき物の普遍性を感じます。
世界史のなかの世界に飛び込んだようなエジプト。
日常生活は急に道がふさがれて通れなくなったり、理不尽な事も多いですが、悩んでる時間がもったいない気がするのです。
時間は悠久に流れるのですから。