カイロの空の下で
エジプトと聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?
中国の上海で、夫が次はエジプトへの転勤と聞いたのは2014年。わたしには、ピラミッド、ナイル川、クレオパトラほどのイメージしかありませんでした。アメリカのワシントンD.C.、ハイチ、ニューヨーク、上海と12年の海外生活をし、初めてのイスラム圏。いつも新しい国への赴任の際は、先入観を持たず行くことにしているのですが、アフリカ大陸も初めてで、面白くなりそうな予感が。 国には、その国独自のにおい、温度、光、色、風、音があると思うのですが、エジプトはどれも、出会ったことのない感覚です。カイロの街は、まるで動物園のように、動物との距離感が近いのです。至るところに、猫や犬がいます。渋滞が起きていると思えば、馬やロバ、ラクダがのんびりと走行中。怒る気持ちも失せ、思わずニッコリ。 そうなのです、この国には笑いがたくさんあります。イスラム教にまつわる物騒な事件も起きていますが、エジプト人は笑顔を絶やしません。日本食が買えなかったり、飲酒の制限などの生活上の違い、夜中まで騒いだり、ラマダン(断食月)などの文化の違いもありますが、笑顔を見ると、なぜかエジプトが愛しくなります。歴史的に多くの影響を受けてきたので、寛容さを感じるからかもしれません。
エジプトといえば、砂漠のイメージですが、地中海と紅海を臨み、ダイビングの聖地と呼ばれている場所もあります。
ヨーロッパからのチャーター便が飛び、さながら異国のようです。2015年、シャルムシェイクでロシア機が墜落してから、外国人観光客が激減しましたが、ようやく回復の兆しが見え、ヒジャブ(イスラム教の女性の被る布)の女性の横で、ビキニ姿の外国人をまた見かけるようになりました。 アジア人が少ないので、道でも、何人かよく聞かれます。そして、日本人だと分かると、みな大喜び。先人の築いた良い日本のイメージを大切にしたいと、背筋の伸びる思いです。二人の子供たちは、イギリス系のインターナショナルスクールに行っているのですが、そこでも、日本(日本食?)は大人気です。
せっかくいろんな国に行かせて頂いているので、その国の料理を習うようにしています。
フムス(豆料理)やタヒーナ(ゴマペースト)など、日本人の嗜好に合う料理も多数あります。我が家での、料理教室後の試食の風景です。料理法、食材など、試食しながら、話に花が咲きます。地産地消、そして和食にアレンジするのを常としています。
単身、日本を飛び出し、アメリカへ。そして、20年が経ちました。ハーフの夫、英語の方が堪能になり、数カ国を話す子供たちを見つめ、言語とは?と、津田で考えていた日々を思います。そして、学び続けていたいと強く思いながら。
ピラミッドとナイル川の見える自宅より。